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紹介したいピアニスト

影響を受けた人やアーティストなど、質問されることがあるのですが、私にとってそういう人やものというのは限られた時間や場所、紙面などでちょっとだけ紹介できるような類ではありません。好きなピアニストにしても、それぞれに思い入れがあるので、一人とか二人とかに絞れるわけなんてないんです。

 

でも今日はひとり、紹介したいピアニストがいます。
その人の名前は、バイロン・ジャニス(1928-)。
ホロヴィッツの数少ない弟子のひとりとして学んだ、アメリカ出身のピアニストです。

 

Byron Janis
Byron Janis

 

ジャニスの名前を知ったのは京都の音楽高校時代。師事していた先生が、彼の弾くリストのピアノ協奏曲第1番のCDを聴かせてくださったのがきっかけでした。当時私はこの曲を勉強していたというわけではなく、レッスンが終わって何かの流れから、先生が「この録音がすごいから一緒に聴きましょう!」と仰り、鑑賞会となったのでした。先生のレッスン室はオーディオおたくの旦那様のリスニングルームも兼ねられており、スピーカーの間、一番いい具合に音が聞こえてくる場所にちょこんと座らされました。そして約20分間、大音量で鳴り響く彼の弾くリストを先生と一緒に黙って聴きました。そしてそれは本当にすご かったのです。

一度聴いた彼の演奏は、10代後半だった私に強烈な印象を与えました。と同時にリストのピアノ協奏曲第1番は、私の「いつかこんなものをバリバリ弾 けたら素晴らしいだろうけれども非常に難しそうだしきっと弾くこともないだろう」曲のカテゴリに長らく入れられることとなりました。

結局、この曲の譜面を開く機会がやってきたのは、リスト国際ピアノコンクールを受けることに決めた2008年でした。研究するにあたり、ジャニスの録音を参考にしたのは言うまでもありません。そんなわけで、先日ご紹介した私の録音の一部からは、彼から受けた影響がかなり色濃く出ているのではないかと思われます。

さいごに、ジャニスが20歳の時、師のホロヴィッツから言われたという一節を。

 

「さあ世の中へ出て、ミステイクをやってきたまえ。でも、それでいいんだ。君のミスだからさ。君自身のミスでなければならない。君の音楽で、なにかをいってきたまえ。なんでもいいさ。これが君だというなにかをね」

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