一般社団法人全日本ピアノ指導者協会ピティナのウェブサイト、会員ニュース上の特集『海外在住会員の声~日本と海外をつなぐ先生方からのお便り~』に、『音楽と共に輝ける星になるために』というタイトルで寄稿しました。
同記事はピティナの会報「OurMusic」秋号にも掲載されました。
以下の本文、ならびに写真付きの掲載文をこちらからぜひご覧ください。
音楽と共に輝ける星になるために
若い世代…特に10代から20代にかけては、周囲にいる人々の多くが、同年代の仲間や同門の先輩後輩、コンペ等で一緒になる人たちなので、視野が狭くなりがちです。でも実際の音楽界は宇宙レベルで広く、ピアニストと呼ばれる人間も星の数ほどいるわけです。日の入り後、真っ先に輝き出し、地上にいる我々の目印になるような星は数えるほどで、そのようなピアニストは世界にひと握りでしょう。しかし、宙(そら)には肉眼では見えない星が無限に存在しています。私たちが各々固有の方法で自身を輝かせ、望遠鏡を覗く人々の目にとまるようにするためには、どうすればよいでしょうか。
日本の音楽教育水準の高さは、ピティナの審査を通してリアルに感じられます。コンペに参加し、日々切磋琢磨するような若い音楽家にとって一番シビアな時期が訪れるのは、教育機関に属さなくなり、コンクールの参加年齢制限も過ぎる頃でしょう。そこで初めて途方に暮れないために、自分の居場所がどこにあり、音楽を通してどのように社会に貢献したいのか、漠然とでも早い段階から考えていれば、たとえ迷うときが来ても、正しい航路に導かれると思います。そして地道に力を注いでいけば、必ず自らの手で未来を拓くことができるはずです。
私は在独期間が15年目を迎えた2022年、ベルリンの居住地に音楽祭を立ち上げるため、公益社団法人を共同設立しました。その翌年から国際ピアノフェスティバル「クラヴィーアフェスト・ベルリン・ヴァイセンゼー」を主催、出演し、来年3回目を迎えます。外国人としてのヨーロッパでのチャレンジは、さながら「宇宙の旅」です。この音楽祭を地域に根付かせ、ひとりでに、そして永く輝く星に育てることが、私自身の星を輝かせることだと信じています。
萬谷衣里
