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ベルリンを感じる映画『ヴィクトリア』、主人公が弾く○○○ワルツに注目

Victoria
Movie "Victoria"

私は飛行機の中で映画を観るのがいつも楽しみなのですが(多い時には約10時間のフライトで4本観たりします)、2015年に公開された映画『ヴィクトリア』も日本へ向かう機内の中で観た作品の一つです。

 

ドイツ・ベルリンが舞台のクライム・サスペンス映画という位置づけらしく、スピード感ある展開が良かったのですが、主人公ヴィクトリアがピアニスト志望だったという点が意外で面白く感じられました。

 

クラブで知り合ったばかりの男たちと銀行強盗をする羽目になってしまうヴィクトリアは、事が起こる少し前にカフェのアップライトピアノで男(ゾンネ)に演奏を聞かせます。二人きりの空間で一心に演奏する彼女と、それを見つめるゾンネの表情が印象的な場面なんですが、彼女が弾く曲が超絶技巧曲なのでビックリしちゃうんですね。ピアニストになる夢を諦めたという設定なので演奏には確かにちょっと難があるのですが、流れる音にはどこか味があります。音に対して映像が不自然なのでこの女優さんが実際に弾いているのではないことは明らかですが、後半ハチャメチャになってくる同映画の中の静かなハイライトと言えるシーンだと思います。

 

ワンカットで撮られた作品で出演する俳優たちも即興で演じている部分が多いというのは後で知りましたが、そういう撮影技術云々の情報なしにベルリンの雰囲気をリアルに感じられる映画としてオススメ。また、外国人(スペイン人)でドイツ語が片言しか話せないヴィクトリアがドイツの青年たちと明け方の町にすっと溶け込んでいく様子も、人種が多様なベルリンの一面を描いていていいなと思いました。

 

さてそのヴィクトリアが弾いた曲『○○○ワルツ』。私も来週12月24日、京都バロックザールでのリサイタルで演奏します。詳細と同曲のタイトルはこちら。当日券もございますのでお近くの方は是非お越しください♪

 

萬谷衣里